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「ヤヴィンの戦い」を古代エジプト美術のデザインを取り入れ表現しました。
「遠い昔、はるかかなたの銀河系で」起きた戦争とはどんなものであったか。
後世の歴史家がそれを歴史絵巻として残したものを、さらに遠い未来の遠い場所に生きる私たちが見ているというイメージです。

単にエジプト風の構成にしているだけではなく、この絵に含まれている数々のモチーフにはそれぞれ意味があり、古代エジプト美術のデザインルールにもある程度沿っています。
「スターウォーズ」としてのストーリーの流れは、すぐに分かっていただけるかと思います。
ストーリーを表す各モチーフは下から上へと順番に並んでいます。
敢えて書くまでもないかもしれませんが、下から設計図のデータディスク、スカリフの戦いを表す炎、反乱軍の戦闘機部隊、デススターの表面、ヤヴィンの戦いを表す炎、熱排気口、勇気記章(メダル)…と続いています。  
私は絵の中のすべてのデザインを古代エジプト風にするのではなく、古代エジプト美術独特のルールや、モチーフのデザイン的な意味だけを取り入れることにしました。ですから、メカデザインなどは映画やプラモデルなどから得た資料ほぼそのままとなっています。
「ヤヴィンの戦いよりも後の時代の人が描いた」という設定なので、ハイパードライブや恒星間航行が当たり前の高度な文明の中にいる人の作だけど、彼のアート感覚は3000年前の惑星地球に住んでいた古代エジプト人に近かった!という感じです。


ちなみに、古代エジプト文明は3000年の長きにわたり続きましたが、その美術は3000年間ほとんど変化することがありませんでした。例外として「アマルナ美術」というものもあるのですが、大ピラミッドが作られた時代(4500年くらい前)、ツタンカーメンの時代(3500年くらい前)、クレオパトラの時代(2000年くらい前)の壁画やパピルス画のデザインは、ほとんど同じなのです。
古代エジプト美術では、地位の高い人物や神々など「重要なもの」をより大きく描きます。
近くのものを大きく描く、いわゆる「遠近法」はありませんでした。
中央の一番大きなX-wingがルークのRed5、その左右はこの戦いから生きて戻ったRed2、red3です。
翼の模様を見ると、それが何番機かが分かるようになっています
(…が、7番機以降は模様のルールが分からないため謎です…)

縦書きオーラベッシュ文字の部分は、この戦いの簡潔な説明です。
エジプト美術も、ヒエログリフによる文章が絵の上や横に添えられ、それぞれの場面を説明しています。「コマ割り」はありませんが、複数の場面を続けて描く構成方法は現代のマンガに近いです。
オーラベッシュは英語なので読める人もいるかと思いますが、全文は以下のとおり。
左半分:
The battle of yavin was a major battle of the galactic civil war 
that led to the destruction of the first death star.

右半分 :
and luke skywalker's first step to becoming a fully-fledged jedi.
It was one of the rebellion's first major victories.
ヒエログリフは日本語のように縦書きも横書きも可能で、そのうえ左からも右からも書くことができます。
とくに王の墓や神殿を飾る美術としての壁画は、アートとして美しく見えることが重要視され、読む方向さえもが左右対称になるように描かれることがありました。
この絵では、文章は中央で半分にわかれており、どちらも中央から端に向けて読むようになっています(左半分は右から読み、右半分は左から読む)。
個々の文章の塊がどちらから読むのかは、ヒエログリフの場合、動物や人物の絵文字の顔が向いている方向で判断します。顔が向いている方向から読んでいきます。
この絵では、文字の間のところどころに入っているxwingの向きで判断できるようになっています。機体の進行方向と同じ方向に読みます。
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